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Fukami Sayuri
深水 沙由理
statement
私は型染という伝統的な技法を通して、自然や現象のエネルギーを表現しています。
型染は型紙を用いて糊を置き、染料で染めて定着させる──という間接的な表現方法です。
型染を彫る(切り抜く)という工程から、明確でシャープな輪郭を生み出すことを得意とします。
ゆえに具象的な存在を表現しやすいとも言えます。しかし逆にその明確さゆえに、曖昧さを描くことが難しいという制約も抱えています。私はまさにその制約に魅力を感じています。
風や光、水の流れといった「形を留めないもの」をあえて型染で表現するとき、輪郭の曖昧さは自然の曖昧さやコントロールできない緊張感を際立たせます。輪郭によって切り取られることで、かえって「形のない存在」が立ち現れる──その逆説的な感覚こそ、私が型染にこだわる理由です。
型染は長い歴史の中で培われ、日本の文化に根ざしてきました。確かなモチーフを元に描かれた文様を繰り返し、着物といった衣服などに展開し人々に使用されることで支え続けられてきたのです。しかし、その技法をあえて「とらえどころのないもの」「用途を持たないもの」に向けること。それは伝統的な手法を継承しながらも同時にその可能性を広げる試みでもあります。
自然は人間に従うことのない存在です。やさしくあたたかな姿を見せる一方で、時に激しく恐ろしく、破壊的な力を示します。その相反する姿と向き合い、型染の特性との間に生じる矛盾や緊張感を取り込むことで、私はそこから立ち現れる新たな表現を探っています。
深水沙由理(2025.9)
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